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ダイナミックレンジ、ラチチュード、SN比は全て異なる物

よく、ダイナミックレンジが広いからラチチュードが広いとか、SN比が高いからダイナミックレンジが広いとか言いますが、それは間違いで、それぞれ基本的に関連のない独立した物です。

ダイナミックレンジ
最大値と最小値の間を何分割できるか。
例えば10bitのADCを使えば、ダイナミックレンジは60dBとなり、12bitなら72dBとなる。
※実際はADCの結果を処理して出力されるビット深度で換算するので、通常はコレより12dBほど落ちます。
これは、ラチチュードが1EVしかなくても、その間を1024(10bit)で分割できればダイナミックレンジは60dBとなります。
また、信号の半分がノイズなセンサーであっても、最大値と最小値の間を1024(10bit)で分割できればやはりダイナミックレンジは60dBとなります。

ラチチュード
センサーが飽和しないで反応できる最大の光(通常97%)と最小の光(通常3%)の間で取れる、実際の光量のEV量の差。
例えば、12EVの物体を撮影したときにセンサー出力の飽和量の97%、2EVの物体を撮影したときにセンサー出力の飽和量の3%、となるセンサーの場合、ラチチュードは12-2=10EVとなります。
このとき、センサーのADCが12bitであれば、ダイナミックレンジは72dBですが、ラチチュードを同じ表現で表せば2^10ですから60dBとなり、ラチチュード≠ダイナミックレンジで有ることが分かります。

SN比
光が全く入らない状況でもセンサーからは出力が出ています。
これは暗電流といい、金属でも半導体でも電気を流すことが出来る物体であれば必ず流れている物です。
これは通常極めて小さい範囲でしか流れません。
そのため、人間が手で扱えるサイズの物では微少なそれぞれの暗電流が打ち消し合うため、影響が出ることはありません。
しかしカメラのセンサーは、画素のサイズがマイクロメーターオーダーとなっているため、暗電流が打ち消し合うのに十分なサイズが確保できずに無視できないレベルになっています。※
またこの暗電流、別に光が当たらない時のみに出て光が当たれば消える、なんてことはなく、物理的な現象のため光が当たった状態でも出ます。※※
ですので、信号が出ている画素にもノイズが乗ります。
※現在のセンサーはその暗電流を可能な限り抑えつつ、暗電流を検出して打ち消す技術を使ってSN比を改善していますが、その分を画素の微細化に使ってしまうため、トータルで改善しない(むしろ悪化)しているのが現状です。
※※暗電流だから暗いときのみと勘違いされそうですが、本来光(信号)が入っていない状態でも出るという事で暗電流と呼んでいるだけです。この電流はセンサーの素材や画素サイズや回路パターンの影響を受けます。
前置きはここまでとして、この暗電流による出力の量と、センサーが飽和するだけの光量(規格値有り)を当ててその時に出力される信号量の比が、SN比となります。
そのため、センサーのADCが8bitだろうが14bitだろうが、暗電流は画素サイズと素材由来の固有値となるため、SN比に変化は出ません。
また、上記のようにADCはSN比の表現する物とは別次元の物のため、SN比とダイナミックレンジの間には関連はありません。


良いセンサーはこれらが出来るだけ良い特性を出せるように設計されており、逆に良くないセンサーはとにかく画素数優先などでこれらの性能が二の次にされているだけなのです。
そのため、良いセンサーはSN比が高い=ダイナミックレンジが高い、ダイナミックレンジが高い=ラチチュードが広いとなり、コンデジのセンサーはSN比が低い=ダイナミックレンジが小さい、ダイナミックレンジが小さい=ラチチュードが狭いとなります。ですが、それらはそれぞれ関連性が有るように思われているだけです。
まあ、良いセンサーを作るには結局全ての性能を高いレベルに持っていかなければいけないので、ダイナミックレンジが高いセンサーはSN比が高くラチチュードが広い、という考えはあながち間違いとは言えないのではありますが。

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